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作成日:平成11年11月11日午後11時11分
PhotoGuide Japanの初イベント
136人が出席! |
PhotoGuide Japan(オノ フィルバート代表)が主催したTokyo International Photo Showcase 1999 (TIPS '99)が1999年10月23日(土)に東京都写真美術館のホールにて開催されました。これはスライド映写会で、三人のアメリカ人と二人の日本人の男女写真家が自ら説明しながら自分の作品を披露しました。 講演は基本的に英語で、時折、日本語の通訳も入りました。写真に興味がある外国人と日本人が英語で交流できるためのイベントでした。
写真を発表したのはウイン・ホワイト、ジャネット・リー・フォスター、ローレンス・ハッフ(Wynn White, Janet Leigh Foster, Lawrence Huff)のアメリカ人と南野歌子と山崎愛加の日本人女性写真家。それぞれのアーテストは外国(日本含む)に住む経験があって、その影響が作品に大きく反映しておりました。写真のテーマと被写体が本人に意味しかない非常に個人的なのものでした。それぞれの写真家は実にさまざまでオリジナルな作品を披露して、とても好評でした。
秋晴れの暖かい日の午後二時から五時まで190席の綺麗なホールに予想以上の136人も埋まり、頻繁な拍手がよく響きました。外国人も日本人も多く、国際色豊かなイベントとなりました。入場料は無料でしたが、TIPS '99プログラムとポストカードセットを販売していました。
プログラムのハイライト
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プログラムの開始が25分ほど遅れて午後2:25から福川淳さんのサックス演奏からスタート。数分後に場内が落ち着いてからPhotoGuide Japan代表のオノ フィルバート氏が司会者として英語と日本語で挨拶をしました(自己紹介なしで)。そして五人の写真家をステージに呼んで英語とまずまずの日本語で紹介してから最初の講演者のウイン・ホワイトが指揮台に立ってスライドの上映を開始。約35分かけて100枚以上の白黒写真を紹介した。彼は様々な個人的なテーマをかかえて、主に自分の家族写真、家族の宝物、とアイダホ州のふるさと写真を見せた。影と光の美しいコントラストも印象的でした。少年時代にたくさんの日系アメリカ人の友人がいたことで日本のことに興味を持ちました。ウインさんの作例写真はここ。
次には ジャネット・リー・フォスターさんが最初こう解説しました:「私の日本に対する情熱は、幼少期の日本の童話体験にさかのぼります。動物がその姿を変容するアニミズム的な物語が、私を捉えました。そして童話に添えられた絵が私の想像力を掻き立てたのです。私の好きだった童話は、「龍の子太)」でした。メスの龍が太郎を見つけて育てたのです。その龍はミルクを与える代わりに、自分の目を太郎に食べさせました。龍の目はとても大きかったので、赤ん坊の太郎は両腕で抱えなければならなかったのです。私は考えました。龍の目をのみこんだ後、普通の生活の上に投影されたテクニカラー映画のように、龍がそれまでに見てきた物すべてを、見ることが出来るのではないかと。私は御来場の皆さんに、想像していただきたいのです。もしあなたが龍の目をのみこんで、龍の見た物すべてがみられるならば、それはいったいどんなものだろうと。」
そしてマジックペンで彩色された写真を上映した。写真の内容は非常に日本的なもので、都内の墓地、お寺、観音さま、桜の木、と浅草の鷺の舞の20数枚の写真を上映。東京には昔の日本がまだ結構残っていて彼女がとても気に入っている都市です。外国人は日本をどう見ているのか、という質問に対してジャネットさんはその一つの答えを出せるだろう。ジャネットさんの作例写真はここ。
三人目は体の大きい、心の優しいローレンス・ハッフさん。少年時代に沖縄の基地に住んでいた従兄弟から日本のことをいろいろ聞いて興味を持つようになりました。その後空手の黒帯の持ち主になり尺八も吹きます。彼は銀塩の変わりにプラチナを使ってプリントを作っています。プラチナプリントは独特な風格があってとても美しい。彼は主にスチルライフとヌードを上映。約15分間のスライドが終わってから舞台上のテーブルに並んでいる本物プラチナプリントの観賞を来場者に誘った。ちょうど休憩も入ったので来場者が舞台に上がってプリントを観賞した。非常に印象的でした。ローレンスさんの作例写真はここ。
20分の休憩後に南野歌子さんがマイクをとりました。作品は主に版画で作った文字入り模様をセルフポートレート写真と合成したもの。自分の口から出る言葉が誤解されることを恐れてその言葉を版画に埋めて見せる。ただしそのメッセージは読めない形で、何かを言いたい、その意志だけを伝えたいという作品でした。アート性の強いものでした。写真を始めたのはアメリカでの学生時代でした。幼い頃からタイ、アメリカと日本に住んだことがある彼女は日本語と英語がペラペラで、通訳もやっていたフィルバートさんがやっと一休み。歌子さんの作例写真はここ。
最後は山崎愛加さん。一風変わっているものをしたいと考えて、彼女がなんと二人のミュージシャンの友人を連れて来て自分の作品を上映しながら舞台上に演奏させました。サックスは福川淳、そしてチェロは比留間雅人。二人は上映している写真を見ながら感想を音楽で表現した。写真の被写体は六人の女性で一人づつにいろいろプラベートの場面(トイレ、お風呂、など)で写されたものでした。約15分間のスライドと演奏が終わると二人は 大拍手を浴びた。
スライドショーが無事に終わってほっとした司会者(主催者)が来場者に「来てくれて本当にどうもありがとうございました。こんなに大勢な人が来るなんて全然予想もしなかった」と感謝の言葉を泣きそうな声で述べた(強い男だから人の前に泣きませんでした)。ちょうど時間どおりの五時にTIPS '99が終わりました。愛加さんの作例写真はここ。
その夜、六時から八時まで恵比寿ガーデンプレース内にあるビヤホールにて約20人がパーティでTIPS '99を祝った。
最高136人、外国人も日本人も多く、年齢層も幅広くて若い20代の日本人女性から高齢の外国人もいました(子供も)。ほとんど英語でやったにもかかわらず、日本人客はいらいらせず暖かい拍手が何度もありました。こんな大勢の人が応援してくれて実行委員は深く感謝しております。ほとんどの人が最後まで残りました。
来場者からのコメント
「今日の映写会は大成功でした。
発表された作品はどれもオリジナリティーに溢れたものばかりで、発表者も個性溢れる人たちでした。オノ さんのフランクな司会ぶりのおかげで、終始会場が和やかな空気に包まれていたのも良かったです。そして会場が素晴らしかった。」
「オノ さんの企画の内容そのものも素晴らしいものでした。普通の写真展というとStaticなものなのにオノ さんの企画は大変にダイナミックで、スライドで作品を見せながら作者がスピーチをする、ほんとに良かったです。」
「プログラムとポストカードがめっちゃかっこいい!表紙の写真、見覚えがあるよ。それにしてもどれも素敵な写真ですよね。芸術性をこの上なく感じます。どの人も、いい生き方をしているなと思います。」
「それにしてもPhilがMCって何か信じられないって感じ。だって今までの印象からいくと、やらなさそうだもの。」
「空いている席が探しにくいでしたので一番後ろの席につきました。」
「よかったよ!」
「南野さんのポストカードの写真が幽霊みたい。」
「To Mr. Wynn White:
基本的なB/Wですが光の捉え方に力強さを感じました。
To Ms. Janet Leigh Foster:
B/Wのプリントに色をつけて遊んだ子供時代を思い出しました。Fosterさんの作品はまさしく竜の目を飲んだかのようで、色を付けたために大変にシュールな感じが出ていました。
To Mr. Lawrence Huff:
作品と作者のイメージがあまりにも違うので面白かったです。作品はプラチナプリントという手間のかかるものですが、豊かなグラデーションを生かした作品の実物はなかなかお目にかかれません。むかしアンセル・アダムスの山の作品をプラチナプリントで見て感動したのを思い出しました。
To Ms. Utako Minamino:
本人は大変にシャイな人なのに、作品の持つ雰囲気は重苦しいものを漂わせていて、彼女の苦しさが現れているようでした。文字の持つ伝達力とイメージの持つ伝達力の重なりが作品を難しくしているのでしょうか。
To Ms. Aika Yamazaki:
映像にはそれほどの強さを感じませんでしたが、彼女のプレゼンテーションを楽しみました。演奏される音楽の流れを見ながら写真を変えていくところに彼女の表現のポイントがあったようですが、いくつかシリーズで見せてくれれば演出の違いが出たのかもしれません。映像より音楽の方が素晴らしかったといったら彼女が少しかわいそうかもしれませんね。」
「主催者としてはいろいろと反省する点もあるのかもしれませんが、オノ さんの司会も堅苦しくなく、後援者と聴取者を暖かな雰囲気でつないでいました。」
「フィルさん、また何かありましたら呼んでください」(サックスを演奏した福川淳より)
「おつかれさま!」
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